出口の無い部屋

要はマジカオス。 初めていらっしゃった方はカテゴリーの〈はじめに〉をお読みください。

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【サンダーソニア】No.4 

……書いていた本人が、忘却してました。
そら更新されへんわ。

駄文警報ー。なんかもう目も当てられないぐらいに駄文ですよ。論点ばらばら。


サンダーソニア No.4

 もう外は暗い。もうすぐ、最終下校のチャイムが鳴り響くだろう。広げていた教科書を片付ける。教室にはもう自分しか残っていなかった。期末試験が近いため、部活動も停止していて、自宅に帰るものも多い。現に廊下から下足場に辿り着くまでに誰にも遭遇しなかった。
 下足場に辿り着くまで、は。
 わたしは一瞬身動きを止めた。靴を履き替えている矢賀優一の姿を認めたからだ。学内の教会で声を掛けられて2ヶ月ほど経っていたが、あれ以来接触の機会が無かった。わたしが声をかけることに戸惑っていたというのも機会を無にしている原因の一つであるのだが。
 そして今もわたしは声をかけることに二の足を踏んでいた。
 テスト前で、もう帰るところに声を掛けては悪い。それにもう、外へ向けて歩き出している。と理由がごちゃごちゃと浮かんできた。
「ん?」
――彼が振り返るまでは。
 思わず私は踵を返した。何となくだ。驚いてつい。
「あ、おい! 待てよ! アンタ!」
 さすがテニス部部員というべきか。彼は逃げ遅れたわたしの左腕を掴んでいた。いつぞやと同じくこちらを傷つけず、かつ振りほどくことの出来ないという絶妙な力加減で。
「……こんな時間まで自習か?」
「……そう」
「送ってく」
そう言うと彼はこちらの腕を解放した。そして、適当な柱に寄りかかる。おそらくここでわたしが走って帰ろうとしたら、先程のように止められるのだろう。
 親切な態度痛み入るが、彼も男であり少し抵抗がある。
「言っとくが、俺は停学とかそういう類の、部活に迷惑をかけるようなことはしないからな」
 わたしはしばらくそう言った彼の顔を見つめてから、ローファーに履き替えた。

 街灯が長い影と、中くらいの影を映し出す。車通りの少ない道にはコツコツと乾いた靴音が二人分響き渡るだけ。無言でいる事がここまで大変なことだとは思わなかった。いつもの愛想笑いを浮かべて、気まずい雰囲気をどうにかしようと試みる。
「矢賀くんは家ってどの辺なの?」
「駄菓子屋の前の三叉路を右に行ってすぐ。アンタは?」
「わたしは三叉路を左。だから三叉路までだね」
そう言ってにっこりと愛想笑う。彼は一瞥した後、視線を正面に戻した。足音だけがコツコツと響く。内心わたしが頭を抱えていると頭上からぽつりと彼が零した言葉が落ちてきた。
「……アンタ、いつも笑い方ぎこちないよな」
「! え、そんなことないよ?」
 何故ばれたのかという疑問が頭の中をひしめいていた。
「オツカレサマ」
「……」
 つくづくこちらを驚かせてくれる男である。三叉路まではまだ距離がある。
「なぁ」
 彼は声をかけてきた。視線で先を促す。
「俺はアンタに名乗ったか?」
「学内新聞」
それだけでおおよそのことは伝わる。
「成る程な」
 そう頷くと彼はまた黙った。しじまが重い。
 その居たたまれなさと、予てからの疑問を尋ねたいという好奇心にも似た気持ちとが相俟ってわたしは意を決した。
「〈そこ〉にいて、矢賀くんは何も思わないの?」
「……そこって」
 彼はぶっきらぼうに返された。
「(天才)と称される立場」
こちらもつっけんどんに返すと、彼は口の端を上げた。
「ああ、アンタは普通になりたい――んだったか? 生憎だが俺は別に構わない。周りがどう騒ごうと、俺は俺の目標のために上を目指す」
「――ッ」
 わたしは言葉の力強さに息を飲んだ。
「アンタはなんのためにそこにいるんだ? 一度失敗して見せれば、周りはしばらくざわついた後よそへ移るだろ?」
ああ、この男の言動は腹が立つ。
 こちらのことなど考える気の無い彼の瞳と言葉にわたしは噛み付いた。
「そんなことできるわけないじゃない! そんな、手を抜くような真似!」
 吐き出す言葉に頭が追いつかない。冷静なんて言葉は何処にもなかった。
「なんでだ? お嫌なんだろ? そこにいるのが」
 彼は揶揄するように言葉を向けてくる。
 彼の瞳にある楽しげな光は消えない。イライラする。
「確かに、〈天才〉だなんだと囃されるのは大嫌いよ。だけど、わたしは、わたしの好きなことで妥協したくない!」
 しばし息の荒いわたしの様子を見て、彼は息を吐いた。
「……じゃ、そうしろよ」
「え?」
 一瞬なにを言われたのか分からなくて面食らった。
「妥協したくないなら、自分が納得できるまでやれってハナシだ」
「!」
「妥協しなかった結果、だろ。優勝とか周りが騒ぐとか。アンタが妥協したくないって願うならそれは受け入れろよ」
「――」
 正論に二の句が告げなかった。彼の瞳はわたしの偽りを切り裂いた。わたしの本当の祈りを暴いた。
「ま、もし妥協しないでいい結果が出なかったときは、話ぐらい聞いてやるよ。同じ場所にいるよしみでな」
そう言って、突如、彼は立ち止まった。
「何?」
わたしが怪訝な顔を向けると、彼は笑いながら前を指差した。
「俺は右だって言ったろ?」
「……」
 三叉路が目の前にあった。
「じゃあな、虎橋」
そう言って彼は歩き出す。
「ちょっと!」
 思わず声を掛けてしまった。彼は立ち止まり、振り返る。
「……何だよ」
「また、明日……あと、……あり……がと……」
「ああ。また明日な」
 彼は何事も無かったかのようにつま先を自宅の方向に変えて歩き出した。


(先が見えないことはこわいから、失敗を恐れる。
 先が見えないことは怖いから、自分を信じることは難しい。
 先が見えないことは恐いから、周りを気にして自意識過剰。
 ――全て、飛び込まなければ分からないというのに。
 真実の祈りは、多分きっと、ひとりでいたくないということ)
〈モノカキ@長〉 | トラックバック(-) | CM(0)
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