出口の無い部屋

要はマジカオス。 初めていらっしゃった方はカテゴリーの〈はじめに〉をお読みください。

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【ねぇ わたしはちゃんと上手く笑えた? 後編】 

続く予定じゃなかったりした。
こんな長くなる予想なんてなかったりした。
矢賀のキャラがつかめなかったりした。
虎橋のキャラがつかめなかったりした。
疲れてるんだと思いたかったりした。

ねぇ わたしはちゃんと上手く笑えた? 後編


 その時の写真たちが目の前にある。何人かの女子で集まってその写真を見ているのだ。
「あ、コレ。ハイ、虎橋さん」
 新聞部の女子に差し出されたのは、男女のトップバッターとアンカー並んで映っている写真である。女子アンカーの目元は腫れていて、泣いてしまったことが見られた。
 アンカーだった女子は、わたしの後ろから写真をのぞきこんで赤面する。
「うわ、私、目ぇ赤!! ダッサ」
「仕方ないよ、一生懸命だったから思わず、でしょう?」
 私のフォローに、彼女は可愛らしくはにかんだ。
 そして、彼女はお返しにと言わんばかりに言った。
「私たちのとこ切り離したら、ツーショだね! 」
 素で「は?」と呟かなかったのは幸いだった。にこにこと笑みを絶やさず聞き返す。
「え? 誰と誰が?」
「矢賀君と虎橋さん!」
 とりあえず笑みは絶やさないでおいた。男子同士を言っているのではという一縷の望みはあっけなく打ち砕かれた。
「あー確かに。虎橋さんいい顔~」
「これ、矢賀君にもあげよっか」
 「やめてください」と言おうか考えたが、よくわからないテンションになってきている彼女たちには何を言っても無駄だろう。どうしたものだろうか。
「俺が何だ?」
「あ、矢賀君!」
 なんとも間の悪い男だ。彼女の手招きに従う彼を笑みながら見つめる。
「ああ、体育祭の写真見てたわけか。」
教卓に視線を落とすと人だかりには理解をしたらしい。女子はそういうのが好きだよなと付け足す。
「ねぇねぇ、矢賀君。コレ、私とかのとこ切り離したら、ツーショだね! 」
 問題発言をした彼女は泣き顔をもう気にしていないのか、彼に問題の写真を見せる。
「ツーショって」
 ようやくこちらに彼の視線が向いた。
「……やめろよ、虎橋困ってるぞ」
 苦笑交じりに彼は言った。
 彼にわたしの作り笑いは通じない。わたしの表情を読み取って上手く助け船を漕ぎ出したが。
「え? 虎橋さんて、矢賀君と付き合ってるんじゃないの?」
残念ながら、助け船は座礁した。
「……」
「そんなわけないじゃない、わたしは声楽が恋人よ!」
よくインタビュー等で聞かれる「恋人は?」という質問に対していつも使う回答を口にした。
 タイミングよくチャイムも鳴り、その場を逃れることができた。

「女の子て無駄に元気よね」
「アンタも〈女の子〉だろ」
 昼休み、私の機嫌は悪かった。
「矢賀とわたしが付き合うなんてよくも妄想できるわよね」
「こうして昼を一緒に食べるからだろ」
向こうの機嫌もあまり良くないようだ。
「別々にするか?」
「大賛成」
「……」
 彼は焼きそばパンの袋を開けながらこちらを見る。
「……」
 わたしは缶コーヒーのプルタブを起こす。
「どっか行かないのか」
「女の子を追い出すつもり?」
「俺は屋上で飯食うのが好きなんだよ」
「わたしだって」
 人工の風よりも屋上の風は心地よい。
「偶々同じ場所で偶々向き合いながら偶々話しながら偶々お互い昼を食ってるわけか」
「不本意ながらね」


(軽口の応酬。
 素で話せるのは、同じ場所にいるよしみだから。
 ねぇ わたしはちゃんと上手く笑えた?)
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