出口の無い部屋

要はマジカオス。 初めていらっしゃった方はカテゴリーの〈はじめに〉をお読みください。

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【くらいゆめ】 

くらーい。
ファンタジー。
懐かしのキャラ(酷)で書いてみた。少女と兄貴の話の8年くらいあと?
なんで具体化してるのとか突っ込み禁止。

続きそうで続かない。

大人が書きたかったんだよ。
作業BGMは常闇ノ皇(大神のサントラ)だったっす。

泣かせたかったんだ。そういえば作中で一回も泣かせてないから。 くらいゆめ

 彼の黒髪が赤まじりに汚れ、肩が上下している。
 鉄錆の匂いが部屋に充満していた。彼は大陸の戦士と対峙している。
 最大の武器とも言える契約の腕輪を外して。
「逃げ、ろ……。俺の……あとを、……役わりを…たの、む」
 口元から幾筋もの紅を溢して彼が歌うように呟く。
 厭だ厭だ厭だ厭だ厭だ厭だ厭だと全身で、ないているのに、それに反して自分はそれを口にすることはおろか身じろぎ一つできずに震えている。

刹那。
 彼の体が不自然に止まり、ビキッといういびつな音と共に紅い液体と共に赤い塊が飛び散った。


「ッハ」
 言い知れないほどの恐怖に彼女は飛び起きた。
「また、見たのか」
震える右手で、顔を抑え自制を取り戻そうとする彼女に横から声が掛かった。
「っ……」
 息が落ち着かないために、彼女は彼の名前を呼べぬようだった。
 彼は炎の宿った金の瞳でそれをとらえると、焚いていた火に木をくべながらため息をついた。
「いつもより、ひどい夢だったようだな。おびえた顔だ」
 彼は、出来る限り彼女の方を見ずに180cm半ばほどの身で立ち上がる。それは彼女の自尊心のためであった。
「今日は、アイツらから離れて正解だったな。そんな顔を見せたら、アイツらは――」
「……ぃ」
 かすかな音を男の尖った耳は聞き逃さなかった。切れ長な目だけをそちらに向ける。
 彼女は自身の身を抱きしめて震えていた。
「よわ、い……」
震える右手を見つめて
「こんなに、震え、て」
 男の額にある、細い金冠が炎を受けて、明るく光った。
「以前にも、言ったが、」
 彼は、彼女に背を向けた。
「そういうところは、いいところだと思うぞ」
彼の声には、淀みがなかった。
「俺にはないところ、……羨ましく思う」
「こんな……ことっわたしはっ……!!」
 彼女は震える声で叫んでいた。
「無理をしないことだ」
彼の言葉は彼女の声に動じることなく紡がれた。
「泣きたいなら、泣いてしまえ」
 防寒布に二点三点と滴がしみこんでいく。俯いた彼女の瞳はこらえきれず、涙を流した。喉もとであがる声を必死に殺していた。
「――俺は、少し辺りを見回ってくる」
 彼は振り返ることなく、歩を進めようとした。
「――……て」
「……?」
 かすかな声を聞きとって彼は小さくうずくまった彼女へ振り返った。
「そこに、いて……。いてくれるだけで……いい、からっ」
「――ああ」
 彼女のしゃくりあがることを抑えた声を彼はなんとか耳にしていた。
「う、うぁ」
 再び彼女に背を向けた。彼女が構わずに泣くことを望んで。
「あ、……にき、……め……なさいっ」
「ごめ、なさい」
「……め、なさ……」
 彼女は絶えず謝罪をしていた。
「ごめん、なさいっ」

 胎児のように小さく横になった彼女に、彼は防寒布をかけた。
「――」
彼女の顔は泣き濡れていた。


――弱くて、強い。
   泣いて強くなるというのならば、泣けばいい。
   俺に無い部分を持つお前
   妬ましくもあり
   羨ましくもあり
   そして、

「まったく、世話が焼けるな。お前は」

   その先は誰も知らなくていい。

〈モノカキ@短〉 | トラックバック(-) | CM(0)
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