出口の無い部屋

要はマジカオス。 初めていらっしゃった方はカテゴリーの〈はじめに〉をお読みください。

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【ささやかな、話】 

タバコ、煙草。
吸えば一生吸い続けて
肺は真っ黒、お先真っ暗。
そうわかっているのに、やめられない。
ある種のドラッグ。


別に好きに吸っててくださいと思いますが。
近くで煙は吸いたくないデス。副流煙デスか? 迷惑デス。
こっちの肺を黒く先も気分も暗くするつもりデスか。

でも、モノカキの中では小道具として用いているという事実。 ※葉鶏頭のお兄さんですが、今回この話だけは喫煙キャラです。


ささやかな、話


「兄貴、買い物行ってくるけど、何かご要望は?」
 少女が外出用のコートを羽織ながら言った。
「ん? この間行ったばかりだろう」
 男は読んでいた書類から目を離し、それを机に置く。
 少女は机の上を一瞥してから、笑って言った。
「湯豆腐に使いたい春菊がないから。……それに」
「それに?」
「そろそろ兄貴、一服したいんじゃないかと」
 男は少女の言葉で、そういえば吸っていないと気付いた。
 不老不死の身体は簡単に言ってしまえば、とても鈍い。3ヶ月ほど断食しても、びくともしない。
 煙草を始めたのは、その愚鈍な自分の身体が喫煙によってわたわたと慌てることが面白かったからだ。
「あー……悪い」
 気を使わせてしまったと落ち込みながら、少女に謝る。
 少女は男の言葉にくすりと声を漏らした。
「この前、雑誌にスモーカーの真っ黒な肺が載ってたよ、気持ち悪いやつ」
暗に気をつけろと言っている少女の言葉に男は軽く返した。
「あれを見てやめられない人は一生やめられない、らしいな」
「じゃ、兄貴は一生だ」
「そ。一生だ」
 男は愉快げに目を閉じながら、机の上のケースから煙草を取り出し銜えた。
 そして胸中でこんなものに依存できるような可愛げのある身体ではないと嘲笑した。
「そしたら、一生、私は兄貴の喫煙に神経使わなきゃいけないわね。やめろとは言わないけど――」
「……」
「――でしょ。……? 兄貴?」
「……いや、なんか……今ちょっと」
銜えた煙草を口から離して男は呟いた。
「どうかした?」
少女が小首を傾げている。
「……いや? 早く買い物行かなくて良いのか?」
 男の言葉に少女はあっと声をあげた。
「煙草きれそうだから、いつもの1カートン買ってきてくれ。あと、インク……か」
「りょーかいしました、先生」
「家で先生って言うな」
男がそう言ったものの、少女はふざけた敬礼した後素早く出かけてしまっていた。
 男は先ほどの煙草を銜えてライターを近づけた。
 キンッ ヂヂッ
 程なくして紫煙がくゆる。
「……かなわないな」
 男は紫煙を吐き出し、煙草を持った右手で顔を押えた。

(一生という言葉の、)
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