出口の無い部屋

要はマジカオス。 初めていらっしゃった方はカテゴリーの〈はじめに〉をお読みください。

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【泡影ノ夢】 

ホウヨウノユメと読んでください。そういう字なので。

いや、はよ長編書けよって話なんですが……

本業テスト前なんで……(言い訳

今回古いのが見つかったんですよ。
若いと書いて幼いと読む。そして進歩は全くしていないと。
なんとなく自虐的投下。(少し手は加えました……ほんの少し)
本当は素敵友人が書いてくれた話がついてたんですが、許可とってないのでナシ。

長いので注意。

泡影ノ夢

今、私の隣には少女がいて。

 同じ地区に住んでいて、同じ“学校”に行っていて、多分同い年。多分がつくのは実年齢がよくわからないからだそうだ。
 実際の年齢は、彼女の大人びた言動を見ていると私より年上なのではないかと思う。しかし、彼女が時折兄に対して見せる笑顔は少女らしい優しい笑顔で、それを見ると私と同年齢だと言われて納得してしまう。

 私たちは周りから見ればとても仲の良い関係で。

 実際、毎日一緒に〝学校〟から帰っているし、よく話す。
けれど。
 この歳特有の「自意識過剰」というやつか、或いは「独占欲」の成せる業なのか。
 彼女は来るものは拒まず、去るものは追わずな人だから。

 彼女が私をどう捉えていてくれるのかわからなくて。

 今はこうして隣を歩かせてもらっても、これからには、明日には、どうなるのかわからないという形の幼稚な不安が私を苛んでいる。
でも。

『私達は友達?』

 その不安を拭い去るためにそんなことを聞くことはできなかった。この歳でそんなことを聞くのは恥ずかしかったし、告白か、鎖のようで厭だったのだ。第一、そんな質問は答えようがないし、彼女に聞いたところではぐらかされるのは目に見えていた。

「エリス」
 不意に彼女が私の名前を呼んだ。
「え? な、何?」
どうやらかなり考え込んでしまっていたらしい。彼女は嘆息して
「私、こっちだから」
と十字路の一方向を指した。
「うん。じゃ、また明日ね」
そう言って、手を振った。彼女もまた笑って片手を振って彼女だけの帰路についた。

 彼女が笑って手を振ってくれたことに安堵する安価な自分がいて。

◆ ◇ ◆

 あの時彼女は泣いていて。

 駆けつけた私たちがわかったことは、彼女の兄が、私たちの先生が彼女の目の前で死んでしまったということだけだった。
そして。
 彼女の兄の葬儀が終わったあと、私の“教室”の半数以上が彼女を心配し、彼女に会おうとした。
しかし。
 彼女自身がそれを拒んだかのように彼女には数日間会えなかった。

 こんなとき、どうしたらいいのかわからなくて。

 私は自習となった教室で独り、日の無い空をただ見上げていた。全身が総毛立ちそうなほど厭な色の雲が厚く覆っている空だった。

「エリス」
 不意に私の名前が呼ばれた。
 以前のつやを失った影のような声だった。
「教室にいるのは、エリスだけみたいね」
 声のほうへ向き直ると、入り口の柱に凭れかかり、腕組みをしている彼女がいた。
 葬儀の時よりも痩せた感じがした。そして、失った肉の分を影が埋めている感じを受けた。
「一応、挨拶しようかと思ったんだけどね」
私が言葉を失っていると彼女はそう言った。
「………挨拶……?」
私が何とかそれだけを言葉にすると彼女は軽く笑った。
 以前とは違う、全てを諦め、放り出したのを喜ぶような笑みだった。
「そ、挨拶」
 彼女の様子に私の頭の中は白くなっていた。最悪の挨拶が思い浮かぶ。

 サヨナラ ヲ イイニ キタノ?

「……もしかして……先生のあとを……」
私は喪失(ブランク)した脳裏に浮かび上がってきた言葉を呟いていた。彼女は静かに頭を横に振った。
「私この街、出ていくから」
「! 何で!?」
「やらなきゃいけないことがあるから」
 彼女は平坦な口調でそう言った。

 それがなんなのか私には見当もつかなくて。

 私は一番聞きたいこととは別のことを聞いた。
「いつ……行くの?」
「今日、これから」
「これ……から……って」
 再び言葉を失った私を彼女は黙って見ていた。そして、私の様子に嘆息を漏らした。以前と変わらない嘆息を。

 結局、私は彼女という人間に対して何の理解もできていなくて。

 彼女が踵を返した。そして
「さようなら」
と振り返らずにそれだけ言って立ち去った。

『ワタシタチハトモダチ?』

                             END
(思い描くは彼女の瞳。
 全てを呑み込んでなお、澄んでいる澄潭(チョウタン)のように
 それは淀んだ深淵よりも人を捕らえて放さない……。)
〈モノカキ@短〉 | トラックバック(-) | CM(1)
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[ 2008/01/10 03:47 ] [ 編集 ]
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